回胴遊商 広報誌第127号
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「物流の2024年問題」を迎えて遊技業界はどうあるべきか年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることとなります。トラックドライバーの高齢化による労働力不足の中、年間時間外労働時間の制限が加われば令和6年4月1日以降、何らかの対策・対応を取らなければ遊技機をオープン前にホール様へ納品できなくなる可能性があります。パチスロメーカーの団体である日電協様としては、いわゆる「物流の2024年問題」についてどのような対策・対応をお考えでしょうか。小林 「物流の2024年問題」は、非常に年4月1日以降、トラックドライバーの大変な問題だと認識しております。遊技機運送協同組合(以下、遊運協という)様からも切実な声が寄せられており、遊技業界の物流については健全化を維持しながら、いかに運送会社の業務効率を上げていくか、行政にもご意見を伺いながら、遊運協様、日働き方改革関連法によって、令和6非常に難しい問題ですね。回胴遊商にも大きく関わってくる内容だと思いますが、大饗理事長はどうお考えですか。大饗 高齢化による労働力不足、深夜労働、長時間労働、休日労働という問題は、メーカー様も、販売業者も共通の課題かと思われます。遊技機の入替は、ホール閉店後の作業が常態化しているため、納品が深夜のみならず、特に日曜、祝日の深夜に集中することから、複数店舗を掛け持つことにより長時間労働が発生することに起因し、取扱主任者の成り手不足になっているというのが現状です。取扱主任者の労働環境の改善も、遊技業界として急務かと思われますが、この問題に関しても、小林理事長のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。小林 本遊技機工業組合(以下、日工組という)様、そして全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連という)様をはじめホール団体様とも意見調整をしながら協議を進めておりますが、まずはできるところから改善、改革をしていこうと考えております。現時点でお話しできる対策としては、メーカーはセキュリティを担保しながら、遊技機が開店予定日の8日前までに出荷できるよう努めます。しかし開店予定日前に納品、設置されたとしてもホール様はその間、稼働ができなくなります。これは、ホール様にとって切実な問題ですので、避けてはとおれない問題であり、業界団体で慎重な議論を重ねていく必要があります。もう一つは、共同集荷の検討です。運送会    ― ―  ― 6社とメーカーの間でも個別協議は必要となりますが、管理可能である場合に限り、一つの運送会社が複数のメーカーの遊技機を一緒に運ぶことができれば、流通の健全化を維持しながら運送会社の効率化につながりますので、これから具体的に検討をしていくことになると思います。この問題は、トラックドライバーの残業時間の制限が端緒になっていますが、日本全体が、高齢化社会を迎えておりますので、効率の良い働き方改革をしていかなくてはならないということでもあり、遊技機取扱主任者(以下、取扱主任者という)は年々高齢化していますので、我々販売業者団体にも共通する課題だと認識しています。必要なことは、行政当局にも相談し業界全体のマネジメントを行いながら、できることから各団体が歩み寄って対応していくことだと思います。回胴遊商の組合員の皆様には、遊技機の設置による深夜作業、複数店舗の掛け持ち等、大変なご負担をかけ、メーカーを代表して御礼を申し上げたいと思います。深夜作業による疲労がいかに危険を伴うかについては、前々から大饗理事長が会議でもおっしゃっており、取扱主任者の労働環境の改善については数年前から議論があるかと思いますが、具体的な対策、対応には至っていないとの認識です。まず、納品が日曜、祝日の深夜に集中するということですが、先ほど申し上げた「物流の2024年問題」の解決案とした納品日の前倒しをした上で、設置についても分散させる必要があると考えています。このことにつきましては、設置から開店まで数日間その遊技機を稼働することができないわけですので、ホール様にもご理解をいただきながら、進める必要があると思っております。これも業界を挙げて取組まなくてはいけない問題ですので、日電協としても回胴遊商様に協力していただきながら、一丸となってホール様に理解を求め、改善を進めていきたいと考えております。おっしゃるとおり、働き方改革と効率化をどのように進めるかという問題だと思います。効率化を図ろうとするとコストアップが危惧されますが、昼間にできる作業は昼間に行い残業時間を減らせば、時間外の割増賃金を減らすことができます。賃金が少しでも減ることは働く人にとっての納得感が必要となりますが、法規等にのっとった働き方を守っていくためには、ホールの皆様をはじめ、メーカー団体の皆様にもご理解を得なければならないと考えております。実は、約6年前の規則改正前に前倒し認定にともなう点検確認作業を数カ月で実施した際は、取扱主任者が数店舗のホール様を掛け持ちし、3~4カ月寝不足を我慢しながら朝方まで駆け回ったことがありました。組合としても交通事故等を毎日心配しながら、日々の業務にあたっていたことを思い出します。大饗 特別企画【特別対談】遊技業界の今後とパチスロの展望について

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